一般的にインシデントとは重大な出来事や問題を指しますが、インシデント管理となるとITシステム上におけるコンピューターネットワークやシステムの不具合発生の際、早急に原因究明と復旧及び利用ユーザーへの対応など善後策を講ずる取組みと解釈されています。なぜインシデント管理が大切なのかを事例で分かりやすく説明します。システム管理会社が提供するソフトウェアが使用できない事態が発生した場合、使用できない出来事がインシデントであり正常な状態に戻す対応具体策が管理業務となります。またインシデント管理には再発防止という重要な役割があり、仮に再びインシデントが発生しても即座に解決する仕組みの構築も求められています。このようにインシデントの発生から対応、解決、改善など一連の対応に携わる関係者すべてに管理情報が共有化され、状況がタイムリーに掌握できる仕組みも必要となってきますからインシデント管理は重要なのです。
企業にとって重要なインシデント管理の基本
企業の業務活動にとって必要不可欠なITシステムは、外部からの顧客対応サービスや営業推進をはじめ社内の人事総務管理まで多岐にわたり重要な役割を果たしています。システム障害トラブルが発生すると業務の停滞のみならず大切な顧客に迷惑をかけてしまうこととなります。そのため日頃よりトラブルを未然に防ぐ対策やトラブル発生時の基本的な対応について事前に構築しておくことが大切であり、この取組みがインシデント管理です。円滑にシステムを運営するため、システム上の問題や障害となりうる課題を抽出し、効果性の高い改善具体策を立案、実行していきます。また、過去のトラブルや問題の原因と解決について、明確に記録管理しておくこともインシデント管理の基本です。このように企業にとってインシデント管理とは業務の根幹と言っても過言ではないのです。
インシデント管理は業務改善の切り札
企業のコンピューター等のシステム運営における主なトラブル障害や問題をひも解いてみると、第1にインシデント発生時の組織的対応の遅れが際立っています。原因は情報の共有化がなされず、加えて状況を掌握する仕組みもないことです。第2に日頃よりシステム体制が単位ごとで運用管理されているためインシデント管理対応に格差が生じています。第3は適正さを欠く要員配置です。これはどこの管理区分でどのようなシステム対応がなされているのか不明瞭なため起こっている問題となります。このようなシステム対応業務の問題を解決し、適正な組織運営へと導いてくれる対応がインシデント管理であり、企業にとって業務の標準化と効率向上をもたらし生産性の向上を実現、また顧客サービスの強化にも結びつく業務改善の切り札と言えます。