情報処理技術者が、正しく知っておかなければならないIT用語の中に「インシデント管理」があります。インシデント管理は、ITサービスを利用するユーザーの窓口となって、ユーザーが抱えている課題や事象を迅速に解決していく一連の過程と、その解決したプロセスを管理していくことを指して言います。例えば、ユーザーからのログインできないとか、アプリの仕様がわからないとか、パソコンからプリンターへデータが送られないというような問い合わせがあった場合、ユーザーにとって困った事象はすべてインシデント管理と捉えることができます。そして、インシデント管理では、インシデントの原因究明ではなく、ユーザーが一刻も速く現状から打破できるように導くことが重要になります。解決に必要なプロセスもすべてインシデント管理ということができます。
インシデント管理のプロセスを知って、蓄えた情報を活用していきましょう
インシデント管理は、まずユーザーから入った問い合わせの内容をすべて記録することから始まります。記録を蓄積することで、再び同じようなインシデントがあったときには、素早く解決策を照応できるからです。次に、誰が対応したらよいか、どのように対応するのか、優先度はどのくらいになるか等の分類を行います。分類されたインシデントは、これまで蓄積してきた解決処理データに基づいて、解決が可能なものは迅速に解決します。蓄積した情報で解決するのが難しいと分類されたインシデントは、より高度な処理が可能な者へ依頼します。解決されたインシデントは、ユーザーと管理に関わる担当者へ報告し、解決へ導いた過程をすべて記録します。このようにして記録されたすべてのインシデント情報は、いつでも誰でも照応できるように、データベース化していきます。
インシデント管理はその能力をどんどん高めることが大切です
インシデント管理では、再び同様のインシデントの報告が入った時に前回よりもスピーディーに解決することができ、インシデント管理の役割が果たせることになります。つまり、一度記録されたインシデント情報は、どんどん役立てられていかなければなりません。そのためには、記録されたデータは直ちにすべてのインシデント管理者と共有され、解決処理に活用できなければなりません。社内で独自に作ったツールでインシデント管理をしていくこともできますが、瞬時に管理者同士で共有できるか、情報を書き加えていく作業に無駄がないか見直すことも大切です。もし、情報の共有までに時間がかかった場合や、データを書き加える際に元のデータが消失する恐れがあるような場合には、インシデント管理の専門ツールを活用すると生産性をもっと向上させることができます。